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#06カベの花


 どうしたのかしら?
 胸がドキドキしている。

 現在リリーナたちがいるここは、世界でも4,5番目に大きい街だ。
 そして、今リリーナがいるここはこの街の城の裏庭だ。パーティー会場からは離れている。

 リリーナはとりあえず、噴水の淵に腰を下ろした。

 夜風で背中の羽が微かに揺れる。
 リリーナは翼が風に揺れる感じが昔から好きだった。
 だから、暫くそのまま座っている。

 今は普段と違い翼を隠していない。
 城で行われている仮面舞踏会のせいもあってか、誰もそんなことを気にする者はいない。しかも彼女がその招待客ともなれば、尚更だ。
 



 話は少し前に戻る。
 この街に着いて暫くしていると『OZ』の軍服を着た女性が話しかけてきた。てっきり追っ手かと思っていたら、彼女はヒイロの知り合いだった。よく考えれば、わたくしが気がついて、ヒイロが気がつかないわけがなかったのだ。
 そしてヒイロはどこか、彼女が来るのを半ば予想していたような表情だった。
 だから、彼女がこちらに向かってくるのをじっと待っている。

 そんな彼女をヒイロは『ノイン』と呼んでいた。



 ノインと呼ばれたその女性はヒイロに短く何かを告げると、一通の封書を渡した。横からそっと除くと、王族の紋章が印刷されていた。

 彼らの話をまとめると、今夜城で行われる仮面舞踏会に来て欲しいと、ヒイロに言っていた。
 それに対してヒイロの返答はなかったと、思う。

 ヒイロは行くつもりなのだろうか?


 宿に戻りふと机を見ると、先ほどの封書が置いてあった。
 封を空けた形跡は全くない。

 ヒイロは下に荷物を取りに行っていてこの部屋には居ない。

 散々悩んだ結果、見ることにした。
 他の誰かがその場に居たら、とても悩んだとは言えないような一瞬ではあったが……。

 想像通りというか、王族の紋章を見たときから思っていたことだったけれど。
 姫からだった。
 
 内容は兎に角、一度、話したい。
 急に舞踏会に行くことになったから良かったら会いたいといった内容。
 仮面舞踏会への招待状も入っていた。


 その他は、自分では絶対に想像すら出来ないような内容だった。
 絶対に……

 だから、何故だか少しだけ読んで後悔した。
 本当に……少しだけ。

 暫く黙ったままその位置でただ立っている。


「…道理で街中『OZ』が多いわけだ」
「ヒイロ!」
 突然投げかけられた声に、リリーナは持っていた手紙を驚いて握り締める。
 ヒイロがいつの間にか、下から戻っていた。
「……お姫様も来ている割には、そこまで…騒いでいませんね!?」
「…予定外だったんだろう…」
 ヒイロはあっさりとそう答えると、そのままバスルームに向かう。
「予定外……行かないつもりですか!?もぅ、始まりますよ!」
 リリーナは人の手紙を勝手に読んでいた事は棚に上げて、普通に手紙の内容について更に聞く。
 ヒイロもそれに対して別段何も感じない。
「ああ」
「何故ですか?」
 リリーナはバスルームまでついてきて言う。
 だから、ヒイロは仕方なしに上着を脱いだだけで動きを止め、リリーナを見る。
 リリーナは自分のおかれている立場を本当に理解しているのだろうか?
 たまに、真剣に悩むことがある。

 リリーナは元々、『EARTH』を出たときから多額の賞金がそこいら中からかけられている。しかし、彼女の写真や情報が公表されていないからなのか、襲ってくる者の数は賞金の額から考えれば、それ程多くはない。
 しかし、最近、リリーナと共にいるのがヒイロに酷似していると、どこからか情報が流れ始めたことがきっかけとなり、元々リリーナ程ではないにしても、やはり多額の賞金が賭けられているヒイロの賞金の額も倍になった。
 つまり自分は今『OZ』ではリリーナを連れ出した人物としてマークされている。

「行ってどうする?」
「ゆっくり話をするのでしょう?」
『何の話を?』っとは、聞かなかった。
 そんなヒイロの心情を、解っているのか解っていないのか、相変わらずリリーナは一向に動く気配が無い。
「……いつまでもそこに居ると、濡れるぞ」
 ヒイロは、バスタブの淵に腰をかけ、半分途方にくれていると部屋の扉をノックする音がした。


「わたくしが行っても良いのでしょうか?」
「勿論ですよ。王も喜びますよ。」
 真っ白なタキシードに身を包んだカトルが、笑顔で答えてくる。
 それに対しヒイロは表情には出していないが、不機嫌なことだけはひしひしと、伝わってくる。

「ええ。本来なら、トレーズ・クシュリナーダも来るはずでした」
「トレーズ……」
 現在『OZ』の実質的には、トップの人物だ。
 勿論、リリーナは会った事はない。ただ、名前は知っている。

「結局、今回は来られないみたいで、代わりに姫をよこしたみたいですけど。まぁ、僕も彼がそうそう出て来ないのはわかってはいましたけど。王はお怒りでした。」
 カトルは笑顔でそう答える。
「まぁ、そんな訳で『OZ』の兵士も居はしますが王にも伝えてありますし、何より仮面舞踏会です。素性をわざわざ公言しなくてもいいということです。それに何よりも貴方を王に会わせたい。」
「……カトルさんは……私のためにいらしてくれたのですね……」
 リリーナはカトルを見つめると、静かにそう答えた。

 カトルは飛行船を使って『OZ』国からこの街まで来た。
 地上を行くよりかは格段に早い時間で目的地にたどり着く。
 しかし、飛行船に乗るためには相当の金貨を払わねばならない。

「近くの町で商談があったから。そのついでですよ」
 カトルは本当に何でもないように笑顔で言う。

「だから、ヒイロ。彼女のことは心配しなくていいよ。ちゃんと僕がエスコートしていくから。」
 しかし、カトルがそう言っても、納得しない面持ちでヒイロは視線を向けてくる。

 そんな態度にカトルは微笑する。
 当然か。トレーズは来ないと言っても『OZ』の姫が来る。つまり姫の護衛の兵士たちとなると、特佐クラスも大勢来るということだ。そんな所にヒイロが彼女を連れ出したくない気持ちは良く分かる。

 だけど、この城の王とは会っておいた方がいいと思うのだ。
 彼女にとっては敵ばかりのこの世界で少しでも力を貸してくれそうな人物とは。
 折角の機会だ。そうそうあるものではない。  

 だからカトルは、無理にでもヒイロを納得させる。  

「それから、ヒイロ。折角だから姫に会ってきなよ。姫も急に決まったことでお疲れみたいだから」
「…………」
 それを聞いてもヒイロは黙ったままだ。
「それなりに情報も入ると思うよ。」
 カトルは不適に笑みを浮かべながら言う。
「何を考えている…」
「トレーズは来ないけど、代わりとして、姫のほかにレディ・アンも来ている」
 リリーナには聞こえないよう、カトルは唇だけを動かしそう伝えてきた。




「どうですか?」
「素敵…」
 広い会場では、大勢の人々がドレスやスーツを身にまとい顔には仮面をつけ踊っている。

 ヒイロは結局、一人でノインに会いに行った。

 カトルとリリーナも人々と同じように、仮面をつけて広間の壁に背をつけ立っている。
「折角ですから、踊りませんか?」
 まだ、彼らはここに来てから踊っていない。ずっと壁の花を演じている。
 カトルが右手を差し出してくる。
「え!…あ、その…わたくし、ダンスは苦手で…」
「大丈夫ですよ。僕がリードしますから」
「その…足を……踏んで…」
 この間、ほとんど引っ張られるようにして踊ったときも何度ヒイロの足を踏んだか、わからない。
 だから、断る。
 いくら仮面舞踏会でも目立つ行動を自分からとるわけにはいかない。
「ごめんなさい。やめておきます。」
 リリーナは本当に申し訳なさそうに言う。
「…そうですか。わかりました。」
 カトルは心得ていて、それ以上無理に誘っては来ない。
 カトルはどんな時でも、相手のある一定の領域に踏み込んできたりはしない。人との付き合い方が本当にうまいのである。
「でも、残念です」
「残念?」
 リリーナが驚いた顔をして聞き返す。
「そうですよ。貴方と踊りたかったのに」
 カトルはいたずらっぽい笑みを浮かべながら言ってくる。
「……やめたほうがいいです。ヒイロから言わせると、わたくしの踊り方はバラバラで酷いそうですから」
「ヒイロと踊ったことが、あるのですか?」
 カトルは内心、軽く驚く。
 結構長い付き合いのあるカトルでさえ、ヒイロが踊った所は見たことがない。
「……あれは、踊ったというより……ただ、意地悪なんですよ。」
 リリーナが最後の方はぶすっとした声で、本当に嫌そうに答える。
「意地悪?彼が?」
「そうですよ。ただ、根に持っているんですよ。わたくしが、カトルさんから頂いたゼロを少し壊してしまったから…」
 『ゼロ』とはリリーナの言葉を借りて言うと、カトルが作った自転車に機械がついた乗り物だ。実物はとても、そんな簡単な代物ではないが……。
「根に持つ?…彼が…そうなのですか……?」
 彼でもそんなことを思う時があるのかと、カトルは信じられない気がした。もし、同じことを自分がしたらヒイロが根に持つとは到底考えられないからだ。

 根に持つとか持たないとかそういうことではないのだ。
 ヒイロは他人に興味がないのだ。だから、他人を当てにすることもない。信じていないのだから。
 そんな、他人を絶対に寄せ付けない彼だから、当時、王室護衛騎士になった時は本当に驚いたのだから。
 何かの仕事だと散々疑った。第一どうやってあれだけ賞金首にもなるほどの彼が王室護衛騎士になれたのかも、わからなかった。
 まぁ、この件は知り合いである寡黙な大道芸人から事情を聞いて納得した訳だが。
 それはまた別の話。

「まぁ、でも!そんなヒイロが女性にうつつを抜かしている姿が見られるわけですよね!」
 リリーナは本当に楽しそうに言う。
「まぁ、もぅ護衛では無いわけですから。姫と、一緒には来ないかもしれませんけどね。もう出てきますよ。それから、仕事中の彼は本当に完璧ですよ。一切無駄が無いくらいに」

 そう言えば、ヒイロは既に、姫の護衛ではない。
 ということは、ダンスも踊ったりするのだろうか?
 リリーナはそんなことを考えていると、客と同じように仮面を着けたボーイが酒を渡してくる。
 口をつけてみると、甘い。
 音楽がやむことは無く、人々ははじめと変わらず踊り続けている。


「ヒイロ」
 リリーナが突然独り言のように言ってきた。
 本当に独り言だったのかもしれない。  

 カトルはリリーナの視線先を見ると、黒いタキシードを身に着けた人物が階段の踊場のところに居た。
 確かに、ヒイロだった。
「よく分かりましたね」
 カトルは関心したように呟く。
「勿論です!だって、いつも彼には呆れられてばかりだから、たまには私も彼のそういう場面を見ておかないと」
 フフフっと笑ってリリーナが言ってくる。
「そうですか。それでは、僕もそういう場面を見ておくとします」
 二人は視線を合わせると声にはださずに笑う。




 そう、そのはずだったのに……
 何故だか自分は今、誰も居ない広間から遠く離れた城の裏庭にいる。

 ここで、最初に戻る。  


 先程まで、カトルさんと姫が出てくるのを待っていた。
 それで、その時のヒイロを見ていようと思っていたのだ。ヒイロは奥に繋がる扉の前で、隙が無く立っていた。

 その間、カトルさんには王の使いの女性が話しかけてきて何事か、話していた。
 よく思い出してみると、わたくしは彼らが横で、何を話していたのかさえ覚えていない。
 『EARTH』に居たときから人の話を勝手に聞くことだけは、得意だったのに。
 自慢できたことではないが。本当にそれくらいしか自分にはやることが無かったのだ。

 そう、何故だか、わたくしはあれ以上あの広間には居たくなかったのだ。
 ……居たくなかった……居たくは……


 まだ胸がドキドキしている。

 リリーナは、一息つくと靴を脱ぎ裸足になった。
 足裏にあたる、ひんやりとした草が気持ちいい。  

 化粧室に行くと嘘をついた上、カトルさんがつけてくれた護衛を化粧室の前に残し、わたくしは今ここにいる。
 目を閉じると音楽が、かすかに聞こえる。


 それに混じって人の声も聞こえる。
 瞳を開けると傍に長身の男が立っていた。羽ビトだ。
 その顔には、今夜来ている客達と同じように仮面をつけている。
 ただ、身に着けている服は『OZ』の軍服だ。

 リリーナはただ、黙ったまま見つめた。
 相手はその態度に瞳を閉じて、苦笑し、何か自分に言い聞かせているようだ。
 そして――
「今晩は、プリンセス」
 リリーナはその言葉に一瞬眉を寄せると、相手にきつい視線を向ける。
 この人物は自分のことを知っている。リリーナは相手のその態度に、直感でそれを感じる。

「わたくしが……プリンセスならば、貴方は誰?怖いドラゴンに乗った騎士?」
 視線を逸らすことなくリリーナは静かに聞く。
 それに対し、相手の男は自分を嘲るように笑うと、空を見上げ、答えた。 
「星の王子様…さ」

「だったら、その王子がわたくしに一体何のようなのでしょう?こんなことをしていて良いのですか?貴方はわたくしの正体が解っているのでしょう?捕まえなくても良いのですか?」
 リリーナはただ淡々と答える。
 しかし、それでも相手の男は変わらず微笑を浮かべたまま言う。
「私が、プリンセスを?」
『冗談を。』っとでも、言いそうな勢いだ。
「こんな所で会えるとは思わなかったがな…ウィナー家か」
 男はそこまで言うと、突然言葉をとめる。
 そして、今度は苦笑を浮かべながら独り言のように続ける。
「だから、あいつを王室に入れるのは危険だと言ったんだがな。」
「……?」
 すると男は今度、リリーナではない別の誰かに告げるように言う。
「彼女の前で殺生はしたくはない。私が消える。それでは、プリンセス。また近いうちに…」

 そう言うと、男は去っていった。



 彼が去ると、再び静寂が戻る。
 何だったのだろう………。
『OZ』にも羽ビトの兵士が居ることが驚きだった。  

 リリーナは黙ったまま、立っている。
 そして、何とはなしに広間の方に視線を向けると、いつの間にか音楽も聞こえなくなっていた。舞踏会も終わりに近づいている。

 夜風でリリーナの髪と翼が静かに揺れる。
「そう言えば、カトルさんが王に会わせてくれるって言っていた様な」
 リリーナは、思い出したように呟く。
 自分はそんな大事なことまで忘れていた。先程の『OZ』の兵に見つかっても、ただ、話していた。
 どうかしている……。


 そんなリリーナをヒイロはただ2階のテラスから冷淡に見下ろす。
 銃を握ったまま、ただ、じっと見下ろす。



 その後リリーナは王と接見し、ヒイロよりも先に宿に戻った。

 リリーナはドレスを着たままベットに横になる。
 舞踏会で軽くアルコールを摂取したはずなのに眠くない。
 眠れないのだ。

 今日は、戻ってこないかもしれない。
 共に旅を始めてからヒイロが遅く戻ってくることはあっても、帰ってこないことは無かった。
 だけど、今夜は戻ってこないような気がする。
 既に時計の針は次の日を指している。


 仕方なく、起き上がりラジオつける。

 すると、城でもダンスのときに流れていた曲が流れる。曲名は知らない。
「……踊ることなんて、今までなかったんだもの…」
 リリーナは独り呟くと、軽くスッテプを踏む。
「ここで、こうなってから、……えーと」
 頭の中で必死に思い出す。
 だが、解らない。

「ここに、あの子たちがいれば、教えてもらえるのにね」
 再び、呟く。そして、その声はこころなしか沈んでいる。
『EARTH』に居たとき自分は本当に、機械人形たちとよく話した。
 彼らは私のくせから好みまでどんなことでも記憶し、成長していった。本当に長い時間をかけて。
 だから、自分のことをこの世で一番良く分かっているのは彼らだと思う。

 例え心が無い機械人形でも、彼らは私の一番の理解者だった。

 ただ、そんな彼らも今は居ない。
 自分があそこを出るときに彼らの記憶は全て消した。
 自分で消した。全て、一つ残らず。

 リリーナはソファにストンと腰を下ろすと、静かに微笑を浮かべる。

「どうしたの、リリーナ?」
 この部屋にいるのはリリーナのみで、話しかけるのもリリーナならば聞くのもリリーナだ。
「今日は何をしても落ち着かない……」
 ソファの上で足を抱え、顎を膝にのせる。
「しっかりしなさい、リリーナ。あなたは、元々ひとりで行くつもりだったのだから………独りは、慣れているでしょう…?」

 ラジオから流れる曲にリリーナは静かに目を閉じ、耳を傾ける。




「………………おはよう」
 ヒイロが声に気づき振り向く。
「…………ああ」

 昨日と何ら変わらない朝だった。
 ヒイロがそこに居て、自分がここに居る。

「目が覚めたのならば、さっさと、起きろ」
 ヒイロはきつくそう言うと、拳銃の手入れを続ける。
 それに対し、リリーナはそう言われてもベットの上に座ったままピクリとも動かない。

 リリーナはふと思う
 ベット…?
 自分は昨日ベットにいつ、入ったのだろう?

「…………お姫様はどうでした?ダンスを今度こそ、踊りました?」
 以前は王室護衛騎士だから踊れないと言っていたのだ。

「あいつとは、会っていない」
 ヒイロは銃を分解しながら、さらっと答える。
「え!?何故ですか!!?」
「オレは情報操作に行ったんだ。」
「情報……操作…?」
「俺がお前と行動をしているという情報を、消してきた。『OZ』だけでも厄介なのに、これ以上、賞金稼ぎが増えると流石にきつくなる」
 いくら、そこいら中の情報を改変しても根本である『OZ』自体の情報を改変しないことには何も変わらない。
 しかしその為には、『EARTH』に居ない今は、特佐クラスの端末を直接操作するしかない。だから、特佐であるレディ・アンの端末を操作しに行ったのだ。
 その際、他にもいろいろ手を加えてきたことは言うまでも無い。



 ヒイロはそれだけ言うと銃の手入れを続ける。

「……帰ってこないかと思いました……」

「……いい加減に起きろ」


「あ…そうですね。はい」
 リリーナはそう言うと、やっとベットから起き上がる。
 ドレスがしわだらけだ。
 こんな日もある。
 
 一度くるりと回って軽くステップを踏む。それに合わせ、しわくちゃのスカートの裾がひらひらと静かに広がる。その様子をヒイロはじっと見ている。
「続きは、何でしたっけ?」
 リリーナが動きを止め、何の前置きもなしに聞いてきた。
「……今のは、ダンスだったのか…?」
「…なんだと思ったのですか…」
 リリーナはぶすっとした声で答える。

「………」

 頭にくることにヒイロは何も答えてこない。下手とでも思っているのだ。リリーナは朝から怒り心頭だったが、今はもぅ、ドキドキしていない。





2004/3/22


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